『アジャイルプラクティス 〜達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣』
献本頂きました。角谷さん、木下さん、ありがとうございました。読ませて頂きました。まず読んで感じたことは、翻訳なのにも関わらず、とても読みやすい、ということ。丁寧に日本語に翻訳されていますし、全章を通して、悪魔・天使・気分・バランス、とフォーマットがそろっているのも、私の好みでした。
この本の中には、「悪魔の囁き」が沢山出てきます。どれもソフトウェア開発をした経験のある人ならば、いつか聞こえたことのある囁きのはずです。その悪魔の誘惑はとても甘美で、ついつい誘いに乗ってしまうこともありました。(正直に告白すると私もありました)
しかし、それは悪魔の所業なので、必ず手痛いしっぺ返しを食らうことになります。どこかで悪魔の嘲笑が聞こえるようです。そういった失敗を経験したことがあり、しかも、そこから何かを学ぶことのできた開発者であれば、悪魔の囁く言葉に耳を貸さない方法を手に入れることができます。
それが、天使の助言、導きです。ベテランの開発者たちは、長い経験を経ることで、多くの「天使の助言」を「習慣」として身に着けているのです。
この本には、そうした素晴らしい「習慣」が沢山紹介されています。
若い開発者にとって、本来であれば、長年の経験が必要となるような開発者の知恵を、この書籍を読むことで手に入れることができるのです。この知恵を日々実践することで、習慣とすることができれば、ソフトウェア開発者として成長することができるでしょう。
私の感想としては、読みやすさも手伝って、どれも納得というか、すんなりと入ってきました。逆に、私にとっての新しい発見は、実はあまりなかったのですが、私が若手の開発者たちに自分の考えや習慣を説明するときには、同じようなことを話すのだろうと感じました。
だからこそ、この本の価値はあるかな、と思います。私の部下の若手の開発者たちに、この本を読ませることで、教えなければいけないことの多くを伝えることができるのですから。
こうして考えると、この本に書かれていることは、アジャイル開発者の習慣というよりも、もっと広くソフトウェア開発者が身に着けておくべき習慣のように思えます。
少しだけ「アジャイルプラクティス」というタイトルで損をするかもしれません。アジャイル、というキーワードで手に取る人が減ったらさびしいですからね。例えば、『ソフトウェア開発を成功に導く45の習慣』・・・くらい煽り気味でも良かったかもしれません。いずれにせよ、より多くのソフトウェア開発者の方に読んでもらいたい一冊です。
最後に、私がもっともシンパシーを感じた部分は、以下の一文でした。
ソフトウェアというものは、ユーザが使い続ける限り、
本当の意味で「完成」することはない。
だから、ソフトウェア開発はもはやプロジェクトですらない
では、継続的に改修していくためにはどうすればいいのか、それがこの本には載っています。
ちなみに私の好きなアジャイルプラクティスのベスト3はこれでした。
- 7 「時が来たら習慣を捨てる」
- 11「設計は指針であって、指図ではない」
- 27「トレードオフを積極的に考慮する」
・・・今回どこにトラックバック打てば良いのかわかんなかった。。。
アジャイルプラクティス 達人プログラマに学ぶ現場開発者の習慣
- 作者: Venkat Subramaniam,Andy Hunt,木下史彦,角谷信太郎
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2007/12/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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